ウイルス感染が分かる鶏の健康モニタリングシステムを開発
:産業技術総合研究所/農業・食品産業技術総合研究機構/茨城県畜産センター

 (独)産業技術総合研究所は10月6日、(独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所、茨城県畜産センターと共同で、鶏のウイルス感染などを遠隔で監視できる健康モニタリングシステムを開発したと発表した。
 電池込みで3g以下、大きさ1円玉大という超小型・軽量の無線センサー端末を開発し実現した。鶏の翼に付けたこのセンサーでとらえた鶏の体温や運動量を無線で受信機側に送り、そのデータからウイルス感染など健康状態を見分ける方式で、鳥インフルエンザ発生早期発見の“新兵器”になるのではと実用化が期待されている。(独)科学技術振興機構が進めている「安全・安心のためのアニマルウォッチセンサーの開発」の一環で取り組んだ。
 無線センサー端末は、体温測定用の温度センサー、活動量測定用の加速度センサーと、無線モジュールを搭載、計測データを鶏舎管理室などにセットした受信機に向け一定時間間隔で自動送信しデータベースと照合、常時健康状態をウオッチしてインフルエンザ感染などを早期に見つけるという仕組み。無線センサー端末の取り付けは、全ての鶏に行う必要はなく、1%程度に付ければ良い。
 鳥インフルエンザウイルスは、鶏の死亡率が75%以上の高病原性ウイルスと、それ以下の低病原性ウイルスに大別される。この新健康モニタリングシステムを使えばその識別ができ、高病原性ウイルスの監視が可能という。
 また、この無線センサー端末を鶏に取り付けて行ったこれまでの実験から、病原性の高いウイルスほど伝播し易く、伝播速度も速いことが分かった。
 この研究成果は、10月7日に東京大学で行われた「動物の健康とワイヤレスモニタリングシンポジウム」で発表した。

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