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高CO₂濃度下で高い光合成能力示すイネ―「タカナリ」、「コシヒカリ」を上回る:茨城大学ほか

(2020年9月1日発表)

 茨城大学と東京農工大学の共同研究グループは9月1日、多収のイネ品種として知られる「タカナリ」は1日の光合成量が代表的イネ品種「コシヒカリ」を上回り、高CO下でその差がさらに大きくなり高CO時代の育種母本(いくしゅぼほん:掛け合わせの種を得る系統)として有望なことが分かったと発表した。

 タカナリは、農林水産省農林水産技術会議の総合的開発研究プロジェクトのテーマ「超多収作物の開発と栽培技術の確立」で開発された水稲。

 作物の葉に届く太陽光の強さは数秒から数分の単位で大幅に変化する。そのため葉の光合成能力を示す指標である光合成速度は1日の間に大きく変わる。

 今回の研究ではタカナリとコシヒカリの光合成能力を実験室内に作った自然と同じ光環境の下で比較した。

 実験は圃場において測定した日の出から日没までの日射量データを光合成測定装置にプログラム、10秒間隔の光変動環境をLED照明によって再現してポットの中で栽培しているイネの光合成能力を現状のCO濃度(400ppm(ppmは100万分の1))と高CO濃度(800ppm)の下で繰り返して測れるようにして行った。

 その結果、光合成速度は両CO濃度条件ともタカナリがコシヒカリを常に上回り、高CO濃度の時の方が1日を通じた光合成積算量の差が大きく、タカナリは光が大きく変動する圃場環境でも光エネルギーを効率的に光合成に利用していることが分かった。

 また、タカナリは、少ない肥料で高い光合成能力を発揮する品種であることも確認したという。

 タカナリは、光が安定している状態での葉の光合成速度が日本のイネの中で最も高いことが知られている。しかし、光が大きく変動する実際の圃場環境での値はこれまで調べられていなかった。