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物質の内部に隠れたトポロジーの直接観測に成功―トポロジカル電子相の新発見の可能性広がる:東京大学/大阪大学/物質・材料研究機構ほか

(2018年2月13日発表)

 東京大学物性研究所の研究グループは213日、(国)物質・材料研究機構や高輝度光科学研究センター、日本原子力研究開発機構などの協力を得て、物質の内部に隠れたトポロジーの直接観測に世界で初めて成功したと発表した。物質表面に発生するトポロジカル電子相の新たな発見や、その振る舞いの理解につながる成果という。

 トポロジーは、連続的に変形できるか否かにより形を分類する数学的な概念。ある種の物質の内部には、隠れたトポロジーが存在し、潜在するそのトポロジーを反映して物質表面に特有の電子状態が発生する。

 このトポロジカル電子相では、質量がゼロの、光速で運動する粒子が見出されたり、内部が絶縁体で表面が導電性のトポロジカル絶縁体が見つかるなど、物性研究のホットな現象が見つかっている。

 しかしこれまでは、物質の内部に隠れた肝心なトポロジーを直接観測する手法はなく、物質表面の見かけだけで物質中の潜在トポロジーの決定が行われていた。

 研究グループは今回、大型放射光施設で得られる軟X線を用い、セリウムモノプニクタイドという物質群の電子構造を詳細に調べる手法を構築、この手法を使って、この物質が通常の物質相である非トポロジカル電子相からトポロジカル電子相へと転移する、トポロジカル相転移の観測に成功した。

 これは、物質中に埋もれた本質的なトポロジーの直接的な決定が可能になったことを意味する。また、今回行った中身の観測により、見かけではトポロジカル電子相と思われていたものが、実はそうではなく、非トポロジカル電子相であったことなどが発見されたという。

 今後この手法を用いることで、さらに多彩なトポロジカル電子相の発見につながることが期待されるとしている。