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産業廃水からエネルギー資源を回収―アンモニア得る技術を開発:産業技術総合研究所ほか

(2026年6月24日発表)

 (国)産業技術総合研究所(産総研)は6月24日、キリンホールディングス(株)、東京農工大学、京都大学と共同で産業廃水中の窒素化合物からエネルギー資源として期待されているアンモニアを得る技術を開発した、と発表した。「微好気性活性汚泥プロセス」と呼び、産総研は「棄てる」廃水処理から「活かす」廃水処理へ、といっている。

 窒素化合物は、肥料として食料生産に使われているほか、医薬品の原料になるなどさまざまな分野で重要な働きをはたしており、それを含んだ廃水の処理には「活性汚泥法」と呼ばれる微生物によって分解する方法が主にとられている。

 しかし、現用の活性汚泥法では、窒素化合物の有機成分はアンモニウムイオン(窒素原子1個と水素原子4個からなるイオン)に変換された後さらに、亜硝酸・硝酸などを経て窒素ガスにまで分解されて大気中に棄てられている。

 それに対し、今回の微好気性活性汚泥プロセスは、廃水中の窒素化合物から生成されるアンモニアを分離・濃縮することでエネルギー資源として利用することができるようにした。

具体的には、窒素化合物の一連の分解反応を低pH(ぺーハー、ピーエイチ、(酸・アルカリ度))・低溶存酸素状態下で行い、中間産物のアンモニウムイオンの生成までで分解を止め、それ以上分解が進まないよう制御して窒素化合物が現用法のように窒素ガスにまでなるのを止めアンモニア回収の道を拓いた。

 アンモニアは、「ハーバー・ボッシュ法」という有名な化学合成法を使って世界各国で作られ現在は約80%が肥料に使われている。燃やしても地球温暖化に繋がるCO₂排出がゼロの「カーボン・フリー物質」であることから、新エネルギーとしての利用が注目されており、すでに石炭火力発電の燃料の20%をアンモニアに切り替える混焼の実証が行われている。日本国内の石炭火力を全部アンモニア20%混焼に切り替えると1年間のCO₂排出を4,000万t減らせるという試算も出ている。

 しかし、ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成には、数百℃・数百気圧という高温・高圧を必要とする難点があることから、もっと温和な製法開発が課題となっており、内外で対応策の研究が行われている。我が国では今年、NEDO(新エネルギー産業技術総合研究機構)が低濃度アンモニア含有廃水から高効率でアンモニアを回収する技術の開発に成功したと発表している。

 今回の実験は、発酵産業の廃水処理プラントを縮小した装置に、製造ラインで発生した廃水を流して行っているが、現用の処理プラントに大幅な改変を加えることなく「有機物除去率はほぼ90%以上をキープしている」といっている。

 研究グループは「今後さらに下水など低濃度廃水を対象にしたプロセスの開発を行っていく予定」という。

概要図 微好気性活性汚泥プロセスにおける装置概要と活性汚泥微生物群集の制御戦略。上段はプロセスフローを示す。青の矢印は水の流れ、茶の矢印は汚泥の流れを示す。(提供:産業技術総合研究所)