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温泉に太平洋プレートの水―北海道の川湯で解明:筑波大学

(2026年6月29日発表)

 筑波大学は6月29日、北海道東部の屈斜路(くっしゃろ)湖の近くにある川湯温泉の湯の一部が、日本列島の地下深くに東側から沈み込む太平洋プレートに含まれていた水であることを突き止めた、と発表した。海底に閉じ込められた海水や粘土などに含まれる水の同位体組成がプレートの動きに伴ってどう変化するかをコンピューターで計算、現地で採取した温泉水と比較して解明した。地球深部における水循環や火山活動との関係を解明する新たな手掛かりになるとみている。

 まず注目したのは、火山噴火などによって山の中心部が陥没(かんぼつ)してできた屈斜路カルデラ周辺の温泉や火山の噴気。火山地域の温泉水の多くは雨水などが地下に浸透してマグマの熱で暖められたものだが、マグマ内にもともとあった水「マグマ水」が含まれていることもある。

 そこで筑波大は、屈斜路カルデラ内にある川湯温泉を対象にマグマ水の同位体成について詳しい分析を試みた。千島海溝から地下約125kmの深さにまで沈み込んだ太平洋プレートの運動に伴って、プレート内の水がどう変化するかをコンピューターで解析する数値モデルを開発、川湯温泉で採取した水の分析データと比較した。その結果、川湯温泉の源泉水は太平洋プレート内から放出されたマグマ水が雨水によって5~6倍程度に希釈されたものと推定できたという。

 また、このモデルで北海道西部の有珠山(うすざん)周辺にある昭和新山の過去の噴気データの解析も試みたところ、そのマグマ水の起源も太平洋プレート内から放出された水であることが裏付けられた。これまでマグマ水の詳しい起源や移動経路を特定するのは困難だったが、今回の研究で数百万年という時間をかけて地球深部に沈み込むプレートと、地上の火山活動や温泉がつながっていることが証明できたという。

 海溝から沈み込む海洋プレートは、火山帯直下に到達する前から水を放出し、地震の発生にも影響を与えることが知られているが、火山活動にどう影響するかは未解明な点が多かった。

 今回の成果について、研究代表者の山中 勤 教授は「今後は日本列島全体へ対象を拡大し、地域ごとの地下深部水循環の特徴や未知の地球科学的現象の解明につなげていく」と話している。