数を心の中で数えるのは、声に出して数えるより脳の覚醒状態が低い―瞳孔に連動する反応の変化を秒単位で測定:筑波大学ほか
(2026年10月15日発表)
筑波大学、立命館大学などの研究チームは10月15日、人が声に出す「外言(がいげん)」では瞳孔(どうこう)が拡大し脳の覚醒状態が高くなる一方、声に出さない「内言(ないげん)」は低い言語活動であることがわかったと発表した。スポーツで自分を鼓舞したり、落ち着かせたりする際の言葉の使い方に役立つと考えられる。
研究チームは、脳の覚醒状態を非接触で、かつ秒単位で計測できる「瞳孔の大きさ」の変化に着目した。健常な若い成人(大学生や大学院生)を対象に3つの課題で実験した。
安静条件(何も考えない)、外言条件(声に出して数える)、内言条件(心の中で数える)に区分し、ランダムな順序でそれぞれ3回ずつ実施した。この間の瞳孔の大きさを連続記録し、瞳孔径の変化量を調べた。
実験1は「1、2、3」と数える単純な数唱、実験2は「猫が一匹、猫が二匹」のように名詞句をつけて数える課題。実験3は「1、4、7、10」のように飛ばし数えをした。
その結果、声を出す外言では3つの実験の全てで安静時より瞳孔が拡大した。
内言では瞳孔の変化は課題によって違った。単純な数唱では安静時より縮小し、名詞句を伴う数唱では安静時と差がなく、飛ばし数えでは明確に拡大した。どれも内言の瞳孔拡大は外言より小さかった。
この結果は、内言が外言よりも低い瞳孔連動覚醒を伴うことを示した。
外言は構音や呼吸運動、自身の音声を聞き、調整する感覚フィードバックなどを伴うため、これらの負荷的な処理がシステムを強く働かせている可能性があるとみている。
瞳孔計測は幼い子供にも適用しやすい。研究チームはこれまで1から5までを数える方法で、幼児(3〜6歳)の内言の発達を測定できることを報告した。
今回の手法を組み合わせることで、幼児期の独り言(私的発話)が頭の言葉へと内面化していく過程で、脳の覚醒状態がどのように変化するかを捉えられるとみている。
スポーツの現場では、声を出したり、心の中で唱えたりするセルフトークを使い分けることで、頑張りたい時と冷静に集中したい時とで言葉を使い分ける生理的な手掛かりになりそうだとみている。



