温暖化で消失「昆布の森」―保全・再生の道探る:筑波大学
(2026年9月25日発表)
温暖化の影響で魚などのすみかとなる「昆布類の森」消失も。筑波大学は9月25日、温暖化と黒潮大蛇行に伴う海水温の上昇が伊豆半島沿岸の昆布類の減少に強く関与しているとする研究結果を発表した。海水温が高くなったことで昆布類の成長が鈍化するとともに、魚による食害が長期化して昆布類が減少しているという。今後は高水温と魚による食害の両面を考慮した昆布類の保全・再生手法の検討を進める。
発表したのは筑波大学生命環境系のH.ベンジャミン助教の研究グループ。伊豆半島の沿岸約200kmを対象に、先行研究による成果も含めて1980年代以降、現在までの40年以上にわたって昆布の一種「カジメ」の存在量を調べた。
加えて2009年以降は①海藻が海底をどの程度覆っているかという海藻被度調査、②衛星観測による海水温などのデータ、③カジメの幼体を用いた実験室内などを組み合わせ、昆布類の森の長期的な変化と温暖化と魚類による食害との関係などを詳しく調べた。
その結果、伊豆半島の下田では2009~2010年には海底の75~80%を占めて繁茂していたカジメが急速に減少、2022~2023年には確認できなくなったという。また、1980~1981年には海底1㎡あたり乾燥重量で最大2.37kgあったカジメが、2023~2024年にはその存在が確認できなくなり局所的に消失していたことがわかった。
伊豆半島では黒潮大蛇行の影響で2017~2024年に温暖化が急速に進んだが、研究グループによる室内実験では海水温が約29.6℃を超えるとカジメ幼体の光合成能力が大きく低下することが分かった。また、海水温の上昇はカジメ類を食べる魚類の摂食活動を長期化させ、それがカジメの消失に強く関係していることも明らかになった。
大型の海藻が沿岸海域に作る生態系である「昆布類の森」は多くの魚類や無脊椎動物の住かとなるほか、物質循環や沿岸の生産性、炭素循環などを支える重要な役割を持っている。一方、海洋温暖化は今後も続くと予想されている。
研究グループは、今後さらに「昆布類の森」の長期モニタリングを続け、高水温と食害の両方を考慮した保全・再生手法の検討を進めたいとしている。




