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タイヤの微粒子を取り込んだ魚が貧血に―含まれている化学物質が関与か:愛媛大学/国立環境研究所ほか

(2026年9月18日発表)

 愛媛大学、(国)国立環境研究所などの共同研究グループは9月18日、タイヤの摩耗で発生した微細な粒子を餌に混ぜて食べさせ続けた魚に貧血が起こることを見つけた、と発表した。紫外線で劣化させた微粒子ではその貧血が起こらず、タイヤ微粒子に含まれる添加剤由来の化学物質が貧血発生の主要因である可能性が高いことが分かったという。

 我が国で製造されているタイヤは、輸出用などを含めると年間約1億2千万本にものぼる。タイヤは、主原料のゴム(天然、合成)にカーボンブラックと耐摩耗性などの特性を良くする各種の化学物質を添加剤として加えて作られ、今回研究グループが行った化学分析ではタイヤ微粒子から43種類もの化学物質を検出している。

 タイヤと道路との摩擦で発生している大きさがマイクロメートルレベル(1㎛は1,000分の1mm)の微細な粒子は、「タイヤ・路面摩耗粉塵」と呼ばれ、大気中に飛散して拡がり、土壌や河川などを経て海洋へと運ばれ、たとえばUNEP(国際連合環境計画)は2024年に日本では1人当たり年間平均1.9kgのタイヤ粒子を排出していると推定される、とする報告を発表している。

 こうしたことから、多様な化学物質を含むタイヤ微粒子は、マイクロプラスチック汚染の主因物質と見られ、海洋へ運ばれたタイヤ・路面摩耗粉塵が海洋の生態系にどのような影響を及ぼしているのかの解明が求められているが、研究はまだ途上にある。

 今回の共同研究には、(国)産業技術総合研究所、日本獣医生命科学大学、鹿児島大学が参加し、タイヤのトレッド(道路面と接する部分)を低温で細かく砕いて得た微粒子を水中の魚の餌に2.5%以上混ぜて鯉に2週間以上最大4週間与える慢性毒性試験を行った。

 すると、鯉の成長には目立った影響が生じない一方で、血液中のヘモグロビンの量と血液に占める赤血球の割合とが共に低下し鯉が貧血の状態になることが分かった。

 そこで更に実験を進め、タイヤ微粒子からどのような化学物質が溶け出すのかを対象を絞らず幅広く探索する分析(ノンターゲット分析)で調べたところ多くの添加剤が水中に溶けだすことが判明し、日光光線に変えて紫外線照射を施した微粒子では貧血が生じなくなった。

 また、貧血状態になった鯉を通常の餌に戻すと、血液の状態が1週間後には回復し、貧血が可逆的な変化であることが分かった。

 

 組織についても顕微鏡で観察したところ赤血球が壊れると生じる物質であるヘモジデリンの濃度が高くなっていた。

 これらのことから研究グループは「貧血の要因は粒子そのものではなく、タイヤに含まれている添加剤やその変化物である可能性が高いと考えられる」と話している。