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低温・低圧でアンモニアを合成できる触媒を開発―水素エネルギー社会の構築に向け実証試験進める:産業技術総合研究所

(2018年5月25日発表)

 (国)産業技術総合研究所は525日、従来法より低温・低圧でアンモニアを合成できる触媒を開発したと発表した。水素の貯蔵・運搬のキャリアとして期待されているアンモニアの合成・利用を促せるという。

 産総研は、再生可能エネルギーを利用して製造する水素からアンモニアを合成し、水素の貯蔵・輸送、アンモニア自身の燃料化などを核とする水素エネルギー時代のシステム構築に取り組んでいる。

 それを実現するうえで主要な課題の一つが、現行のハーバー・ボッシュ法に代わる新たなアンモニア合成法の開発。ハーバー・ボッシュ法は高温・高圧、水素供給量一定のもとで運転するが、再生可能エネルギーで製造される水素は低温・低圧で供給量が変動するため、その条件に適した新たなアンモニア合成プロセスが必要とされる。

 産総研と日揮(株)の共同研究グループは今回、低温・低圧でのアンモニア合成に適した触媒を開発するとともに、水素供給量の時間変動に対応できる、新触媒を用いた新たなプロセスを開発し、実証試験装置を製造した。

 開発した新触媒は、触媒成分であるルテニウムをナノ粒子として担体に分散させたもので、圧力を上げると性能が低下するルテニウム触媒特有の問題を克服した。これを搭載した実証試験装置を運転し、プロセス技術の検証を進めている。

 アンモニアは大量の水素の貯蔵・輸送に適し、燃やした時に二酸化炭素を排出しない燃料としても使用できる。今回開発した技術は低炭素の水素エネルギー社会の実現に貢献するとしている。