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イネの開花を早めるたった一つの遺伝子を発見―開花を2時間早め、高温障害を軽減できる品種改良に:農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2026年6月11日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構と(国)国際農林水産研究センターを中心とする国際共同研究チームは6月11日、イネの開花時刻を早める新たな遺伝子(EMF3)を発見したと発表した。開花時刻をこれまでの午前10時〜12時より約2時間ほど早めることで、イネの実りが著しく向上することを実証した。温暖化が進む中で高温によって種子が実らない(不稔)現象が増えているが、これを軽減する実用的な早朝開花イネにつながり、コメの安定生産に貢献すると期待される。

 イネは比較的暑さに強い作物だが、暑すぎると高温による障害が発生する。特に開花期には気温に影響を受けやすいことが知られている。

 開花時間帯(10時〜12時)に35℃以上の高温に遭遇すると受粉不良が起き、コメの収量が低下したりコメが実りにくくなったりする。

 研究グループが独自に開発した「早朝開花」と「通常開花」のイネを遺伝子レベルで比較したところ、たった一つの遺伝子が影響していることを発見した。この遺伝子を「EMF3」(Early Morning Flowering 3)と命名した。

 染色体にある4種の塩基配列の順序が異なることで、作られるたんぱく質の性質や機能が変化した。様々なイネの遺伝子情報が登録されているデータベースでも、世界のどのイネにもないユニークなイネだった。

 日本のイネだけでなく東南アジア(ラオス)や南アジア、西アフリカなどで栽培されている品種に、EMF3遺伝子を交配で導入したところ全てのタイプのイネで開花時刻が早められた。

 またEMF3遺伝子がどのように開花時刻を制御するかも調べた。イネは花びらに相当する鱗被(りんぴ)に水分が流れ込むことで鱗被が膨らみ、物理的に花が開く。ところがEMF3遺伝子は鱗被ではなく雄しべの先の花粉が入った袋の葯(やく)で発現していた。

 この結果はイネの開花時刻が鱗被の働きだけで説明できるほど単純ではなく、まだ知られていない生物学的プロセスが潜んでいるものと見られる。