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新型コロナウイルスの新たな増殖戦術を解明―これまでと異なる抗ウイルス薬の開発の可能性浮上:国立健康危機管理研究機構/理化学研究所

(2026年5月20日発表)

 国立感染症研究所と(国)理化学研究所の共同研究グループは5月20日、新型コロナウイルスに潜んでいる特有の増殖戦術を新たに明らかにしたと発表した。新型コロナウイルスの複合的な増殖メカニズムの理解が深まり、新たな抗ウイルス薬の開発につながる可能性が考えられるとしている。

 新型コロナウイルスは変異を続けながら今なお世界的に流行している危険性の極めて高い感染症原因ウイルス。集団免疫の獲得やRNAワクチンの開発、特異的抗ウイルス薬の開発により死亡率こそ低くなっているが、流行は収まっておらず、新型コロナウイルスの増殖メカニズムは完全には解明されていない。

 研究グループはこの解明に挑戦し、新型コロナウイルスの細胞侵入を助けるTMPRSS2という加水分解酵素に着目、その働きを追究・追跡した。TMPRSS2は、ウイルス膜タンパクを切断することで感染性粒子の放出やウイルスの細胞侵入を誘導している。

 研究の結果、TMPRSS2はウイルスS(スパイク)タンパクのウイルス粒子への取り込みを抑制していること、半面、細胞内で新しいウイルス粒子が形成される過程では感染性ウイルスの産生を逆に阻害することが示された。

 また、TMPRSS2の細胞内での効果は細胞のゴルジ体の機能の抑制によりもたらされることが明らかになり、さらにこのTMPRSS2の効果を新型コロナウイルスのE(エンベロープ)タンパクが打ち消していることがわかった。

 これらのことから、新型コロナウイルスは細胞の外ではTMPRSS2を利用して宿主細胞に侵入し、細胞内で新しいウイルス粒子を形成する際には、障壁となるTMPRSS2の機能をウイルスEタンパクで打ち消すことで効率の良いウイルス増殖を行っていることを見出した。

 このウイルスEタンパクを阻害する戦略は、新しい新型コロナウイルス感染症の治療法につながる可能性があるとしている。