ダイヤモンドウエハーの作製で新技術―シリコンとの複合化で課題の大面積化に道:産業技術総合研究所ほか
(2026年2月2日発表)
(国)産業技術総合研究所と(株)イーディーピーの共同研究グループは2月2日、ダイヤモンドとシリコンのウエハー(基板)を一体化した複合ウエハーの作製に成功したと発表した。ダイヤモンドは、“究極の半導体”と呼ばれる次世代材料で、工業化の技術開発が内外で進められている。今回共同研究グループは、12mm角の合成ダイヤモンドウエハーを直径2インチ(1インチは25.4mm)のシリコンウエハー上に載せ1,200℃の高温に加熱して強固な接合を起こさせ1枚の複合ウエハーにした。小さな大きさのダイヤモンドウエハーをシリコンウエハー上に多数枚貼り付けることで課題の「大面積」ダイヤモンドウエハーを実現できると見ている。
ダイヤモンドは、硬さだけでなく、ある条件によって電気を通したり通さなかったりする半導体の性質を示し、現在主流のシリコン半導体より、高温・高電圧で使えるなど多くの優れた特性を持つことで早くから注目され、最近はAIのような大電流・大電力向けのパワー半導体として世界的に急浮上している。
しかし、大面積ダイヤの合成がボトルネックになっている。ダイヤモンドを人工的に合成する方法自体は1980年代に開発されているが、現在工業的に合成されているダイヤモンドウエハーの径はまだ1インチのレベル。半導体ウエハーとして求められている2インチ径以上(直径50mm以上)の大面積ダイヤが合成できるまでにはなっていない。
今回の成果は、ある発見によって得られた。
1,000℃を超えるような高温での同種の材料同士の接合は、両方の熱膨張が同じであることから容易で広く利用されている。
しかし、異種材料の接合は、そう簡単にいかず、熱膨張の差による「反り」が発生し、高温になるほどその反りの差が大きくなる。
それが、ダイヤモンドとシリコンの接触ではそうならず、今回その特性を利用して複合化を達成した。
600℃近辺までは、シリコンの方がダイヤモンドより大きく膨張するが、600℃を超えると両材料の熱膨張の差は小さくなっていき、1,200℃で接合すると反りの違いによる基板間の高低差が9µm (マイクロメートル、ここでは1,000分の9mm )にまで低減し、ダイヤモンド・シリコン複合ウエハーの開発に成功した。
表面粗さが比較的粗いダイヤモンドウエハーであっても強固な接合体を得た。
また、試作したダイヤモンドとシリコンの複合ウエハーは、デバイス製造で使われている化学処理に耐え、ステッパー(縮小投影露光装置)によるダイヤモンド表面への微細加工が行えることも分かった。
今後は、より大きなダイヤモンドウエハーを複数個使った複合ウエハーの開発を進め、電子デバイス作製を実証する予定といっている。

(提供:産業技術総合研究所)



