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窓から入る太陽光自在にコントロール―新方式の調光ブラインドを開発:産業技術総合研究所

(2026年1月27日発表)

 (国)産業技術総合研究所は1月27日、窓などから差し込む太陽光の強さを自在にコントロールできる「調光ブラインド」を開発したと発表した。偏光シートをわずか数ミリ程度スライド(移動)するだけで、入ってくる太陽光を強くしたり弱くしたり自在に変えられる。住宅やビルなどの建物へのほか、自動車や電車の窓、照明器具など幅広い分野への利用が期待できるといっている。

 太陽光の入射を調節する最も簡便な器具は、ブラインド。太陽の強さに応じてスラットと呼ばれる板(羽根)を上下することで入ってくる光を調節している。量近は、その発展形として液晶を使った調光ガラスや、2枚のフィルムの間にはめ込んだ特殊な材料の分散配向を電圧でコントロールする調光フィルムといった調光ブラインドも使われている。

 しかし、それらの調光ブラインドは、光量の制御に電源が必要で、配線の施工が複雑だったり、高価といった課題がある、などで導入先が限られている。

 それに対し、新開発の調光ブラインドは、電源が必要なく、日差しがまぶし過ぎると感じたら簡単に光量コントロールできる。

 太陽光は、あらゆる方向に振動している光で、その中の特定の方向に振動する光だけを透過させる機能を持った光学素子のことを偏光子と呼ぶ。

 産総研は、シート状にした2枚の偏光子を重ね合わせ、その2枚の位置を動かすと、僅か数mm程度のスライド(位置変化)で光の透過率が変わって、入射してくる太陽光の強さを多段階にわたって調整(調光)できるようにすることに成功した。

 実験では、スライド量を0mm、2mm、4mm、6mmと変えたところ、可視光の透過率がそれぞれ30%、24%、13%、4%へと変わり段階的な調光制御ができることを確認した。

 調光制御に必要な極薄の偏光子シートは、「ナノインプリント」と呼ばれる転写技術を使って一括製造することができる。

 ナノインプリントは、ナノメートルオーダー(1ナノメートルは10億分の1m)の超微細なパターンをプレス機を使って転写する技法で、既に半導体の回路パターン形成や光学部品製造などで実用になっている。

 今後について産総研は「アート分野、エンターテインメント分野などへの応用も期待できる。こうした異分野への展開も視野に入れ、幅広い用途での研究開発を進める」といっている。