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CO2固定遺伝子―300株の微生物で確認:理化学研究所

(2026年1月20日発表)

 (国)理化学研究所は1月20日、約300株の微生物が地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)を取り込んで有機物に変換するのに必要な一連の遺伝子を持っていると発表した。理研が持つ約6,700株の微生物資源の遺伝情報を詳しく分析して確認した。大気中のCO2を有機物に変換する環境にやさしいものづくりに役立つとともに、温暖化問題の解決にもつながると期待している。

 今回分析の対象にしたのは、理研が持つ3万2,000株以上の微生物コレクションのうち細菌やアーキア(古細菌)からなる6,749株(細菌6,262株、アーキア487株)。微生物がCO2を取り込んで有機物に変換する際に使う代表的な反応経路「カルビン・ベンソン回路」に必要な遺伝子があるかどうかを調べた。

 その結果、306株(147属、8門)でそうした遺伝子を確認した。この反応回路は地球上で固定される炭素の約95%を担う代表的なものとして知られているが、アーキアで見つかったのは6株だけだった。さらに過去の研究について調査をしたところ、147属のうち74属ではCO2固定についての報告があった。ただ、残りの73属ではCO2固定は確認されていなかった。

 微生物がCO2固定をする際には、ルビスコと呼ばれる酵素が中心的な役割を担うが、この酵素には複数の型があることが知られている。そこで今回、ルビスコの型ごとにどのような微生物が、どのような環境で、どのような代謝をしているかを、遺伝子情報と培養条件などの違いごとに詳しく調べた。

 その結果、この型の違いによって微生物のCO2固定能力の有無や利用するエネルギー源、生息環境が大きく異なることなども明らかになった。また、一部の光合成細菌ではカルビン・ベンソン回路遺伝子の存在が必ずしもCO2固定による生育を意味していないことなどもわかった。

 これらの成果について、理研は「微生物がどのような環境から分離されたかという情報もまとめることで、グローバルな炭素循環の理解に向けた研究やものづくりの分野で微生物を新たな資源として活用していく基盤を整えた」「CO2を資源として活用する環境調和型技術の開発や、低炭素社会の実現に向けた研究の基盤形成に貢献する」と話している。