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小笠原諸島・母島列島のムラサキシキブ属の分類見直し―2つの新種と1つの自然交雑種を新たに命名:島根大学/森林総合研究所ほか

(2026年1月19日発表)

 島根大学、(国)森林総合研究所、小笠原環境計画研究所、東京都立大学の共同研究グループは1月19日、小笠原諸島の母島列島に分布する植物ムラサキシキブ属について、形態・遺伝・生態の総合的な解析結果に基づき、これまでオオバシマムラサキ1種とされてきたものを新たに分類して、2つの新種と1つの自然交雑種を報告したと発表した。

 ムラサキシキブ属は、小笠原諸島で適応放散的に種分化を遂げた代表的な植物の一つで、オオバシマムラサキなど3つの固有種が記載されており、これら3種はいずれも父島列島に分布している。それに対し、母島列島や聟島(むこじま)列島、火山列島にはオオバシマムラサキのみが分布するとされてきた。しかし、母島列島のオオバシマムラサキには形態的な多様性が存在していた。

 研究グループは、母島列島に分布するムラサキシキブ属について、長期にわたり野外調査をしたり、遺伝解析や形態計測をしてきた。今回、こうした一連の研究を踏まえ、これまでオオバシマムラサキ1種とされてきたものを、4つの分類群に分けるべきであると考え、新たに2つの新種と1つの自然交雑種を報告した。

 報告された新種の一つは、オガサワラムラサキで、湿性高木林に生育し林冠を形成、葉の両面に毛があり、秋に開花する。

 もう一つの新種は、ハハジマムラサキで、乾燥地に生育しサイズは小型でしばしば株立ちする。葉の両面に毛があり、開花期は夏から冬の長期にわたる。

 自然交雑種はチブサシマムラサキという。オオバシマムラサキとオガサワラムラサキを両親とする自然交雑種で、高標高の雲霧林に生育する。開花期は夏。

 これらの新種・自然交雑種は分布域が狭く、外来植物の影響を受けて個体数が減少している個体群もあるという。分類の見直しにより、保全単位が再評価され、今後の生態系管理や保全に生かされることが期待されるとしている。

 今回の成果は、海洋島という限られた環境の中で、植物がどのように分化・多様化するのかを示す貴重な事例であり、生育環境や開花期、形態的・遺伝的特徴の違いから島嶼(とうしょ)でどのように新しい種が生じるかを解明する手がかりとなるという。

母島列島に生育するムラサキシキブ属4分類群(撮影:鈴木節子)