高放射線耐性と超低消費電力を両立させたFPGAを開発:日本電気/産業技術総合研究所
(2017年3月7日発表)
日本電気(株)(NEC)と産業技術総合研究所(産総研)は3月7日、高い放射線能耐性と超低消費電力を両立するFPGA(ユーザが論理機能を自由に設定できる理論LSI(大規模集積回路))を開発したと発表した。宇宙でのLSI利用に向け、優れた放射線耐性を持つNEC独自の技術(金属原子移動型スイッチ技術、NanoBridge(R))技術を用いたもので、この研究開発には産総研などが推進するオープンイノベーション拠点(TIA)の施設が活用された。
現在のFPGAでは、人工衛星などの宇宙環境で利用の際、放射線の影響で書き込まれた情報が変化し、誤動作する心配があった。今回用いた新技術は従来のFPGA消費電力効率を10倍向上するとともに、優れた放射線耐性を備えている。NECはこの技術を生かして宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、地上で過酷な放射線環境下での動作実証試験を行った。
その結果、装置のオン・オフが放射線照射の前後で変わらないことを確認。これにより、NECは通常のFPGAと比べて放射線によるエラー発生頻度を100分の1以下にできると予測しており、高放射線耐性と超低消費電力を両立するLSIの実現が可能としている。NECと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は平成30年度に打ち上げる革新的衛星技術実証1号機に今回の新技術を生かしたカメラ画像圧縮処理送信装置を搭載、実用性と信頼性を検証する計画である。