肝がん発症リスクを予測―遺伝子の働き数値化:理化学研究所ほか
(2026年2月24日発表)
(国)理化学研究所、千葉県がんセンターなどの研究チームは2月24日、がんになる前に見られる前がん病変部の遺伝子を調べることで肝がんの発がんリスクを予測する手法を開発したと発表した。細胞増殖などを調節する特定の遺伝子が発がん促進に関与していることを確認、その働きを数値化して発がんリスクを評価できるようにした。過去20年間に世界で約2倍に増加している肝がんの早期治療による死亡者数削減に役立つと期待している。
理研と千葉県がんセンターに加え、岐阜大学と東京慈恵会医科大学も参加した研究チームが注目したのは、生命活動にとって重要な細胞の分化や代謝などの働きを制御しているMYCNと呼ばれる遺伝子。この遺伝子は細胞が特定の働きをできるようになる分化や、外界から取り込んだ物質を生命活動に役立たせるように変える代謝などの生命活動を調節している。
今回、この遺伝子を実験動物のマウスの肝臓に導入する実験をしたところ、肝臓の腫瘍形成が促進されることを実験的に確認した。続いて、肝臓がんを発がんしたマウスの肝組織で、MYCN遺伝子がどのように働いているかを時間的・空間的に追跡。さらに、この遺伝子が肝臓の中で特に強力に働いている領域を突き止め、その領域の特徴を数値化する「MYCNスコア」を開発した。
その結果、がんになる前の非腫瘍組織でのこのスコアが、肝がんの再発リスクと強く相関関係を持っていることが明らかになったという。このため、発がん前の状態におけるMYCN遺伝子がどのように働いているかを調べることで「将来的な発がんのリスクを予測できることが示された」という。
これらの成果について、研究グループは「今後、研究がさらに進展することで、疾患前段階・超早期にがんの予測・予防ができる社会の実現への貢献が期待される」と、話している。



