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大雨時の土層内の空気圧上昇を簡易な方法で観測―防災・減災害につながる成果:森林総合研究所ほか

(2025年1月16日発表)

 (国)森林研究・整備機構 森林総合研究所と(国)国際農林水産業研究センターは共同で1月16日、大雨時に土層の中で生じる空気圧の上昇を簡易な方法で観測したと発表した。

 森林などに降った雨が流出するまでのプロセス(降雨流出過程)にはまだ未解明なことがある。その一つが土層内のすき間に存在する空気の圧力(間隙空気圧:かんげきくうきあつ)。間隙空気圧の上昇は、洪水や鉄砲水といった大きな流出に影響を与えていると考えられている。今回その間隙空気圧が地下水位の上昇により上昇することを観測した。

 豪雨による災害が頻発していることから、それに対応するため様々なパターンの降雨を予測したシミュレーションが行われている。しかし、これまでの研究は主に水の動きについてのもので、地中に含まれる空気の動きについてはほとんど考慮されておらず、現地観測で間隙空気の挙動を捉えた例などはほとんどないといわれている。

 そうしたことから研究グループは、土層内の間隙空気圧の現地観測を行った。

 測定を実施したのは、茨城共同試験地(茨城県石岡市)と常陸太田試験地(茨城県常陸太田市)の2か所で、小型の圧力センサーを使って作製した簡易な間隙空気圧計を土層中に設置して間隙空気圧と共に、大気圧や降雨量、土壌水分量、地下水位を測った。

 その結果、台風により強い雨が降り出すと大気圧が低下するのに対し、土層内の間隙空気圧は逆に上昇する様子がはっきりと見られた。また、地下水位の急上昇と同じタイミングで差圧が急上昇することが確認され、間隙空気の加圧と地下水位の上昇には強い関係があることが分かった。

 「大雨時の土層内の空気圧上昇が洪水や土砂崩れなどの発生につながる仕組みがより明らかになれば、防災・減災につながる」と更なる発展を研究グループは期待している。