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歯周病などに新薬―極微の銀カプセルに抗菌物質:産業技術総合研究所ほか

(2024年9月9日発表)

 (国)産業技術総合研究所と沖縄科学技術大学院大学は9月9日、抗菌物質が効きにくい歯周病などのバイオフィルム感染症に効く薬を開発したと発表した。抗菌物質のアジスロマイシンを1万分の1mm単位の極微の銀のカプセル内に封入して実現した。バイオフィルム形成菌は歯や歯肉、体内の心臓ペースメーカーなどの表面に糖類の膜を作るため通常の抗菌物質が効きにくく、病気の慢性化が大きな問題となっていた。

 開発したのは、抗菌物質「アジスロマイシン」を直径が1万分の2.5mm程度の銀ナノ粒子内に封入した薬剤。これを表皮ブドウ球菌が形成したバイオフィルムに投与したところ、界面活性剤で銀ナノ粒子を複合しただけの従来薬「ソルプラス製剤」よりも1.5倍程度高い抗菌効果を示すことが分かった。

 さらに、投与してから6時間経った後には9割のバイオフィルム形成菌が死滅していることも確認した。走査型電子顕微鏡による観察では、2時間後にはある程度の表皮ブドウ球菌が球形のまま存在していたが、6時間後には平らな形状になっている姿が多数観察され、死滅しているとみられた。

 これらの結果について研究グループは、銀ナノ粒子とアジスロマイシンが持つ表皮ブドウ球菌に対する異なる抗菌作用が、薬剤を銀ナノ粒子内に封入するコアシェル構造にしたことによってより高まったためだとみている。

 今回の研究では、レーザーを用いて細菌のわずかな活性変化も高感度で検知できるバイオセンサー技術も開発、新しい薬剤の抗菌効果の評価にかかる時間を大幅に短縮できる可能性も見出した。

 研究グループは今後、薬剤耐性菌や複数菌で形成されるバイオフィルムに対して効果的な製剤の設計を進める。さらに、今回開発したレーザーを用いたバイオセンサーをさらに改良し、さまざまな菌種、製剤を用いた抗菌活性の評価を実施したいとしている。