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飼料用トウモロコシの新品種「トレイヤ」を開発―収量が多く、病害や倒伏被害に強い特長、飼料自給率向上に期待:農業・食品産業技術総合研究機構

(2024年1月10日発表)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構は1月10日、牛や豚、ニワトリなどの家畜のエサに使う新飼料「トレイヤ」の開発に成功したと発表した。実になる部分の雌穂(しすい)の収量が高く、飼料作物から食用まで幅広く利用できるのが特長で、北海道内のトウモロコシの生産向上に期待される。

 気候変動やウクライナ戦争、円安など内外情勢の悪化によって輸入飼料価格が高騰し、農家や消費者に大きな影響が出ている。

 家畜のエサとして栄養価が高く収量が多い飼料用トウモロコシは、飼料自給率の向上に大きく貢献することから北海道を中心に増産の期待が高まっていた。

 飼料用トウモロコシは、これまで実と茎、葉を一緒に収穫し、裁断した後にサイロで発酵させる利用法(ホールクロップサイレージ(WCS))が多かったが、昨今は実になる雌穂や子実だけを使う濃厚飼料としての利用が増えている。

 このため雌穂収量の高い品種への期待が高まっていた。さらにこれまでは温暖な地方で発生していた病害が北海道でも増え始めていることなどから病害に強い品種が求められていた。

 新品種の「トレイヤ」(旧系統名「北交97号」)は、トウモロコシの実の収量が標準品種より高く、すす紋病やごま葉枯病などの重要病害にも強く、台風や強風による倒伏被害にも強いという特長がある。

 栽培適地はWCS利用が北海道道央北部、十勝中部、網走内陸で、子実利用としては道央中部以南と道南が想定されている。種子の供給は2027年以降に民間種苗会社や農協を通じて開始される。

 品種の名前は、雌穂収量が多いことを意味する「とれ(獲れ)る」と雌穂の英語名「イヤー(ear)」を組み合わせて「トレイヤ」と名付けた。