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国産黒トリュフの人工栽培に成功―短期間で安定的なキノコ発生の技術開発を目指す:岐阜県森林研究所/森林総合研究所

(2023年12月4日発表)

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発生した黒トリュフ ©岐阜県森林研究所

 岐阜県森林研究所は(国)森林総合研究所と共同で高級食材の国産トリュフの人工栽培に成功したと、12月4日に発表した。植栽して7年目の成果で、今後は短期間で安定的に発生させる技術開発を目指す。

 トリュフはキャビア、フォアグラと並ぶ世界3大珍味の一つ。希少価値が高く、日本では全量ヨーロッパや中国などから輸入している。100gで1万円から3万円もする高級食材であることから、食卓のダイアモンドといわれる。

 石灰岩土壌を好み、ヘーゼルナッツ(西洋ハシバミ)やナラの木などの根に共生する菌根菌の仲間で、土の中に黒いジャガイモのようなキノコを作る。マツタケと同様に人工栽培が非常に難しいとされる。

 ヨーロッパでは黒トリュフなど一部が、菌を接種した苗木で人工栽培されていることから、国産トリュフの栽培技術が期待されていた。

 研究チームは、2016年の4月と7月に国内産の黒トリュフであるアジアクロセイヨウショウロの菌を接種したコナラの苗木を野外に植栽した。7年目の今年10月、地表面にキノコ(大きさ3-4cm、2個、約50g)が発生しているのを確認した。

 コナラ苗木に接種したトリュフ菌によるものとわかり、国内で初めて人工的に黒トリュフの発生に成功した。昨年は、国産白トリュフのホンセイヨウショウロを人工的に発生させることに成功している。

 今後はキノコ発生の再現性を高め、短期間で安定的にできるよう開発を進めることにしている。