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磁気と超伝導が結び付いている証拠捉える―超伝導発現機構の解明に向け前進:日本原子力研究開発機構/茨城大学ほか

(2022年11月29日発表)

 (国)日本原子力研究開発機構と茨城大学、京都大学、東京工業大学、J-PARCセンターの共同研究グループは11月29日、超伝導に埋もれた微弱な磁気を発見し、磁気と超伝導が直接結び付いている証拠を得たと発表した。超伝導の発現機構の解明をはじめ、超伝導の産業応用の拡大につながる成果という。

 超伝導は冷却により金属や化合物の電気抵抗がゼロになる現象。超伝導状態では2つの電子が引き付け合ってペアを組み、お互いが補うように振る舞うため電気抵抗が現れないとされる。

 この現象の発現機構には磁気が重要な役割を果たす場合があると考えられている。例えば、絶対零度近くにおいて物質内の電子スピンが規則正しく並んだ磁気を帯びた状態から、その整列が解けた状態に変化する転移点近くでは、超伝導の出現が多くの物質で見られている。このため、磁気と超伝導は大きく関わっているものと考えられてきた。

 しかし、超伝導の中での磁気の発生という微弱な現象を、実験で明確に捉えた例はこれまでなく、磁気と超伝導が関わっているという直接的な証拠は得られていなかった。

 研究グループは今回、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、インジウム(In)からなる高品質の超伝導物質(CeCoIn5)を作製、超高感度で磁気を検出することができる大強度のミュオンビームを用いて、超伝導状態で生じる微弱な磁気の検出を試みた。

 その結果、温度以外の環境変化で生じた相転移を観測、超伝導が生じている中で起こる、磁気を帯びた状態への変化を捉えることに成功した。

 超伝導の発現には2つの電子が引き合うことが必要だが、そこに磁気が関わっていることを直接示したもので、超伝導の発現機構の解明に重要な成果が得られたとしている。今後超伝導のより広い分野での利用や産業応用への展開が期待されるという。