新種の微小巻貝6種を発見―前期白亜紀の化石から:千葉県立中央博物館/国立科学博物館ほか
(2022年1月7日発表)
今回発見された新種の巻貝6種類のうち3種類
左: Pseudomelania yamadai (シュードメラニア・ヤマダイ)、中央: Choshipleura striata(チョウシプレウラ・ストリアータ) 、右: Stuoraxis kasei (ステュオラクシス・カセイ)。
©千葉県立中央博物館
千葉県立中央博物館と(独)国立科学博物館、富山大学は1月7日、千葉県銚子の海岸付近の地層「銚子層群君ヶ浜層」から採取された大きさ1㎝にも満たない微小な巻貝化石から6種類の新種を発見したと発表した。約1億2,500万年前の前期白亜紀に生息していた巻貝が複数見つかったことで、これまで見過ごされがちだった白亜紀の微小な巻貝の多様性に新たな光が当たりそうだ。
新種の微小巻貝は、銚子市在住の山田勝彦さんが1998年に採取、2000年に千葉県立中央博物館に寄贈した貝化石を含む岩石の中から見つかった。この中にこれまで見つかっていなかった微小巻貝が12種類含まれていたが、今回はこのうち6種を新種と認定し論文に記載した。新種発見は銚子層群の巻貝化石としては42年ぶりだが、今回のような小さな巻貝についての報告は初めてという。
銚子層群で見つかった巻貝化石は、すでに見つかっていたものを含めると全部で24種類。このうち新種は、今回の6種が加わって全部で16種になった。また、今回見つかった微小種の中には、白亜紀より1億年以上前の三畳紀(さんじょうき)の地層からしか発見されていなかった巻貝なども含まれており、巻貝類の進化史に新たな知識を加えるものになるという。
研究グループは「ある分類群の種の多様性を明らかにするためには、微小種の存在にも目を向ける必要がある」とみており、今回の発見で巻貝群集の多様性に新たな光が当たると期待している。また、新種の巻貝が博物館に保管されていた岩石から発見された点について、「博物館等の研究施設における自然誌研究や保管機能の重要性を改めて示すものだ」と話している。