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持久力が高く認知機能が優れている人は多く瞬きをする―18~24歳の若齢男性に行った測定で判明:筑波大学

(2021年2月1日発表)

 筑波大学は2月1日、瞬き(まばたき)と持久力(スタミナ)、認知機能との関係について、若齢男性を対象に調べたところ持久力が高く、高い実行機能を持っている人ほど多く瞬きをすることが分かったと発表した。「瞬き」が身体活動を調べるバイオマーカーとして利用できるのではないかと期待される。

 瞬きは、意図的に行なう瞬き、外的刺激などで反射的に起こる瞬き、意識せずに生じる自発性瞬きの3種類に分類されていて、人間は通常1分間に20回程度自発性瞬きを行っており、1分間当たりに起こる瞬きの頻度を瞬目率(しゅんもくりつ)と呼んでいる。

 また、古くから「目は口ほどに物を言う」と言われているが、実際に目の活動と精神活動との関係は非常に密接で、意識せずにしている瞬きには神経伝達物質であるドーパミンの活動が反映され、例えば、ドーパミン神経が悪くなったパーキンソン病患者は自発性瞬目率が少なくなることが知られている。

 そこで、研究グループは持久力、認知機能(実行機能)、ドーパミンが反映される自発性瞬目率の3者の関係性を明らかにしようと運動経験のない人から運動部に所属する人まで幅広い体力の18~24歳までの大学生・大学院生35人に参加してもらい計測を行った。

 持久力は自転車運動をスタミナ切れの疲労困憊(ひろうこんぱい)になるまで行ってもらい、持久力の指標である最高酸素摂取量を求める方法で測った。

 自発性瞬目率については椅子に座って安静にしている間の5分間の瞬きの回数を計測、1分間当たりの平均回数を算出した。

 また、ドーパミンは「ストループ干渉処理能力」という評価指標によって調べた。

 その結果、持久力が高く認知機能が優れている人は瞬きを多くすることが分かった。

 ただ、一方でドーパミン神経が過剰に活性化して瞬きが非常に多くなると逆に認知機能が低下することを示唆する報告もあることから更に性別や年齢の違う集団でも同様の検証をする必要があると研究グループは見ており、この研究を足掛かりにして詳細な脳内機能解明を進めるとしている。