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深海底で新たな鉱物資源「微小マンガン粒」を発見―世界初、マンガンとレアアースを豊富に含む:海洋研究開発機構/高知大学/農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2019年2月4日発表)

海底堆積物に含まれる微小マンガン粒の走査電子顕微鏡写真。樹脂で固めた堆積物の断面の写真(黄色の矢印で示すのが微小マンガン粒)(左)と、比重分画・光学特性の解析で分離した微小マンガン粒の拡大写真(右)。(提供:海洋研究開発機構)

 (国)海洋研究開発機構(JAMSTEC)、高知大学、(国)農業・食品産業技術総合研究機構などは2月4日、深海の海底堆積物中に膨大な数の「微小マンガン粒」が含まれていることを世界で初めて発見したと発表した。マンガン団塊、コバルトリッチクラスト、海底熱水鉱床などに続く新たな深海底鉱物資源の発見で、世界中の海底に存在するという。

 マンガン団塊はボール状、コバルトリッチクラストは板状なのに対し、この微小マンガン粒はその名の通り粒状で一つの大きさは直径わずか数μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)。

 今回の研究には、ほかに(公財)高輝度光科学研究センター、愛媛大学、広島大学、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、東京大学の研究グループが参加、南太平洋の中心部に位置する「南太平洋環流域」と呼ばれている海域を含む水深3,740mから5,695mの海底7カ所を深い所で100m近く掘削して得たコア試料(柱状の地質試料)の中から見つけた。

 微小マンガン粒が発見されたのは、多国間国際協力プロジェクトとしてJAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」などが参加して実施した「統合国際深海掘削計画(IODP)」で採取したコア試料の中からで、微小マンガン粒を選択的に分離・回収する技術を開発して取り出すことに成功した。

 研究では、先ずJAMSTECの高知コアセンター(高知県 南国市)が海底堆積物の微細構造を可視化する技術を開発、コア試料を詳細に分析した。その結果、外洋の酸素に富む海底堆積物にのみ微小マンガン粒は存在し、1cc堆積物中に1億〜10億個もの微小マンガン粒が含まれていることが分かった。

 マンガンは、鉄、チタンに次いで存在量の多い金属元素で乾電池、合金をはじめ様々な分野に使われている。微小マンガン粒には、マンガンと共に磁石やモーター、自動車排ガス浄化触媒などに不可欠のレアアース(希土類元素:ネオジムなど17種の元素の総称)が多く含まれていることも分かった。

 今回と同じような酸素に富む海底堆積物が存在する外洋は、南太平洋だけでなく世界中にあると見ており、見つかった微小マンガン粒が世界の海洋にあると仮定すると、そのマンガンの量はマンガン団塊やコバルトリッチクラストに含まれるマンガンの100~1,000倍に相当する1.28~7.62兆t、レアアースは最大33~194億tに上ると研究グループは試算している。