[編集発行](公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

ここに注目!

「国総研」~日本の国土を診る【総合病院】~

(2017年6月15日)

        
         国総研の研究体制

<国総研は社会資本の総合病院>
 国土技術政策総合研究所(国総研)は、社会資本・住宅分野で唯一の国の研究機関として平成13年に設立され、より安全・安心な社会をつくるため、道路・河川・港湾などの社会資本の整備・活用・維持管理、さらにこれらの防災・減災に関する研究とその成果の普及・展開を進めています。
 国総研では、研究成果を基に技術基準の作成や災害対応支援、技術相談や技術移転による自治体等への技術支援、社会資本分野の研究コーディネートを行っています。この仕事ぶりは、日本の国土という身体を診る【総合病院】といえます。
 国総研の各研究部は、社会資本施設の定期的な点検・観測結果(健康診断)を基に、老朽化や災害による変状の予兆(発症のサイン)や初期の兆候(発症)を早期に発見し、そして災害発生直後や異常発見後の迅速な詳細調査(精密検査)や緊急・応急対策(処置)を行うことで被害の発生・拡大を防ぐため、各分野の【専門医】として、日々研究にいそしんでいます。
 
<総合病院の特長を生かした治療>
熊本地震により斜面が大規模に崩れ、橋が崩壊した現場        (阿蘇大橋付近:南阿蘇村)

 平成28年4月に発生した熊本地震では、山が大きく崩れ、橋が落ち、大量の土砂などが川に流れ込むなど、種類の異なる災害が特定の地域で集中的に発生しました。復旧には、砂防、道路、河川など各専門分野の連携が求められました。このような状況の中、国総研では、分野を横断した診療体制を柔軟にとり、災害復旧の技術支援にあたりました。
 さらに、社会資本の【かかりつけ医】である地元の自治体や国交省の地方機関(地方整備局)と密接な連携を図るとともに、【外部の専門医】である大学などの専門家とのネットワークを生かしたセカンドオピニオンも実施しています。

<臨床に基づく社会資本の総合医療>
 国総研が扱う技術は、研究所単独ではなく、現場の課題とその解決、いわば【臨床】を通じて発展するものです。社会資本の技術発展には、現場への技術支援、現場からの問題提起が不可欠です。しかしながら、研究所の取り組みは、ともすると個々の支援事例の蓄積に終始してしまいがちです。次の世代やより多くの皆さんに安全・安心な社会を提供する知恵となるためには、そのエッセンスを体系づけていくことが大事です。そのために国総研が本当の意味での【社会資本の総合医療】の好循環をつくっていきます。

 <国総研をもっと知っていただくために>
 国総研をより深く知ってもらうために、さまざまな機会を設けて公開イベントを行い、研究の様子を実際に体験してもらっています。さらに、職員が学校などに直接出向き、小学生から一般社会人の皆さまとコミュニケーションを取りながら、研究内容を説明したり質問に答えたりする、出前講座も積極的に行っています。関心を持って頂けた方は、是非国総研にお越し下さい。
 
                 国総研ホームページ<http://www.nilim.go.jp/
                 イベント情報<http://www.nilim.go.jp/lab/bbg/event/
                 出前講座<http://www.nilim.go.jp/lab/bbg/demae/
 
 
国土交通省 国土技術政策総合研究所 所長 藤田 光一