[編集発行] (公財)つくば科学万博記念財団 [協力] 科学技術振興機構(JST)・文科省研究交流センター

つくばサイエンスニュース

ここに注目!

これからの「ここに注目!」に注目

(2017年7月01日)

研究開発の俯瞰報告書

 つくば科学万博記念財団の理事長の中原です。今年の5月に理事長職に就いたばかりの新米です。前職では科学技術振興機構(JST)の研究開発戦略センター(CRDS)で副センター長を務めていました。CRDSは内外の科学技術や科学技術政策の動きを調べて、政府に対して研究開発プロジェクトなどを提案していく科学技術分野の公的なシンクタンクとも言われています。センター長はノーベル化学賞を2001年に受賞された野依先生です。

 CRDSには数十人のフェロー(研究者と調査員を併せ持ったような人たち)がいて、2年サイクルで内外の科学技術の動きを調べ上げ、研究開発の俯瞰報告書なるものを作成、公開しています。エネルギー、環境、ライフサイエンスと医療、情報科学技術、ナノテク・材料の全5冊、総ページ数2,500ページに及ぶ大部なものです。この作成には国内の第一線にいる1千人以上の研究者や産業界の方々の協力も得て行っています。この俯瞰報告書の中には、現在重要な科学技術は何か、海外先進国との比較、今後の方向性は何か、などの重要な情報が詰まっています。

 これからの「ここに注目」コラムは、つくばにおられる研究者たちのコラムに加えて、CRDSのフェローの協力も得て、俯瞰報告書を中心に現在ホットで注目されている研究開発領域を取り上げていきます。科学技術に関心を持っておられる一般社会の方々に最先端の研究開発の話題をできるだけ平易な記述で説明していく予定です。
 CRDSには、海外の科学技術政策動向を調べるユニット、国内科学技術政策を調査検討するユニットもあります。「ここに注目」コラムでは、海外や国内の科学技術政策の動きにも目を向けます。米国のトランプ政権は通商問題や移民問題で注目を集めていますが、これからの科学技術政策はどうなるのでしょうか。パリ条約からの脱退を表明した米国は今後気候変動問題に関する研究開発をどうしようとしているのでしょうか。さらには、英国のEU離脱は欧州の科学技術にどう影響を与えるのでしょうか。韓国の新しい政権の科学技術に関する動きも気になります。こういった注目を集める話題も取り上げたいと考えています。

 読者の皆さんとの双方向のコミュニケーションも考えていきたいと思います。これが知りたい、解説して欲しいといった「ここに注目してほしい」という希望を寄せて頂きたいとも考えています。そうすることで、より読者の皆さんに親しんでいただけるコラムを目指していきたいと考えています。

中原 徹(なかはら とおる)
科学技術庁及び文部科学省において長年にわたり科学技術政策に従事。
趣味は濫読。通勤時間が長くなり、本を読める時間が増え、若干幸福。