六方晶窒化ホウ素用いた高輝度遠紫外線面発光素子を開発
:物質・材料研究機構/双葉電子工業

 (独)物質・材料研究機構は9月21日、双葉電子工業(株)と共同で高純度の六方晶窒化ホウ素(h-BN)粉末を発光層とした手のひら大の高輝度遠紫外線面発光素子の開発に成功したと発表した。素子本体の大きさは、65×35×12mmで、27mm2の発光面から最大出力0.2mW、波長225nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の単色光を出す。既に乾電池で動作する携帯型遠紫外線光源の試作を終えている。
 ホウ素原子と窒素原子で作る六角形のネットが幾重にも積み重なった構造のh-BNは、古くから知られる化学的に安定した無害の物質で、絶縁体や耐熱材料などに多く用いられているが、その遠紫外線領域での光学特性は、2006年に同機構が世界で初めて見出すまでは、ほとんど明らかにされていなかった。
 今回、同機構が開発した新素子の基本原理は、陰極線管(CRT)と同じで、陰極から電子を放出、蛍光体であるh-BN粒子に当てて発光させる仕組み。
 アルミ電極を施したガラス基板の上に、高温高圧法で育成した粒子径が数十μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)程度のh-BN単結晶粒子を均一に付着させて発光層を作り、この基板の下に置いた電界放出型の電子源から加速した電子線を当てる。
 不純物による僅かな光以外に熱となる赤外線などが出ないので、熱線吸収フィルターが要らない遠紫外冷光光源になる。
 波長280nm以下の遠紫外線は、オゾン層に吸収されて地表には届かないが、オゾンや有機物の分解を促進する作用があるので、コンパクトで高効率の遠紫外線発光素子は光触媒による環境汚染物質分解処理装置の光源や、病院・食品加工業などで使う殺菌用水銀ランプに替わる省エネルギー・無害の光源として広範な応用が考えられると同機構は見ている。

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試作した遠赤外線面発光素子(提供:物質・材料研究機構)