(独)農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所は9月3日、今年の春発生したナシの発芽不良について行った全国調査の結果を発表した。
今春、九州の暖地を中心とするいくつかのニホンナシ産地の露地栽培樹で発芽不良が発生した。
露地栽培とは、温室のような施設を使わない地面(露地)での作物栽培のこと。ニホンナシの発芽不良は、これまでも施設栽培樹を中心に局地的に発生しているが、露地栽培樹で広い範囲にわたって発生したことはほとんどなかった。
このため、同研究所は、症状の特定や原因を究明するため、全国の果樹関係の公立研究機関の協力を得て全国の発生状況を調査した。
その結果、発芽不良樹の発生は、ごく一部のナシ園に限定されていることが判明したとし、「収量など今年のナシ生産に与える影響はほとんどないものと考えられる」と結論している。
九州などで発生したナシの発芽不良は、芽や枝の凍害、冬季の低温不足、樹勢の低下などによるものと見ているが、原因をより明確にするためには「来年度以降の発生状況を注視していく必要がある」といっている。
No.2009-35
2009年8月31日~2009年9月6日