(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と情報通信研究機構(NICT)は9月2日、技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」の最近の成果と現状を発表した。 平成18年12月にJAXAが打ち上げた「きく8号」は、携帯端末を使った移動体通信技術実証などを目的とした静止衛星で、これまでに2回実験結果などを発表(平成20年7月と同21年2月)しているが、今回はその後に実施した実験の概要と成果をまとめている。 それによると、前回報告以降、基本実験ではJAXAが大型展開アンテナのビーム形成機能評価など4項目を実施、NICTが位置情報携帯端末を用いた通信実験など3項目を行なった。 一方、利用実験としては、平成19年度に2件、同20年度に12件を実施済みで、今年度中に9件実施する計画(内、首都大学東京の災害遠隔医療実験など5件はすでに実施済み)となっている。 今回発表した主な実験成果は、
[1] | 大型展開アンテナの評価では、筑波(茨城)と種子島(鹿児島)間、筑波と小笠原諸島(東京)間の通信実験に成功(平成21年6月)、通信エリアを自由に再構成できることを示した。 | [2] | 熱海市(静岡)の初島沖海上で、出力を約2倍に増強した超小型端末を使い、開発目標の一つである「きく8号」と携帯型端末との直接通信を実現(平成21年3月)した。引き続き、富山県の立山で同様の山岳通信実験を行う予定。 | [3] | 鹿児島県が枕崎市で行った総合防災訓練に参加、「きく8号」を使い被災状況を確認する実証試験を実施した(平成21年5月)。 | [4] | GPS(全地球測位システム)受信機内臓のマッチ箱大の位置情報携帯端末を使った移動体通信実験を世田谷公園(東京・世田谷区)などで実施。同端末を付けたヘルメットを被った幼児の歩行軌跡を基地局画面に表示、現在地が分ることを実証した。 |
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技術試験衛星「きく8号」(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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