リグナンの含量が多い「ごま」の新品種を開発:作物研究所

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所は7月2日、抗酸化性などの機能を持つ高リグナンごまの新品種として、耐寒性と耐病性に優れた黒ごま「ごまえもん」と、収穫時期が早い白ごま「ごまひめ」の育成に成功、岩手県、茨城県、三重県、鹿児島県などで試験栽培を行うと発表した。
 リグナンは、植物体内の樹脂分に含まれる微量成分で、植物体内で発生する活性酸素を捕捉し、植物体の酸化防止の役割を担う抗酸化物質。一般的に、ごまや、ごま油に0.5~1%前後含まれている。
 国産の高リグナンごまとしては、同研究所が平成14年に「ごまぞう」を開発したが、山間地や寒冷地での栽培が難しく、粒の色が褐色なため用途が限定されていた。
 そこで、高リグナンごまの安定供給と地域特産作物としてごまの産地拡大を図るため、岩手大学との共同研究により、リグナンの一種であるセサミンとセサモリンの含量が多い「関東11号」と、病害に強く粒色の優れた岩手県在来の黒ゴマ「岩手黒」を交配。粒色が多様で山間地や寒冷地でも栽培しやすく、他作物との作業競合を回避できる早生(わせ)品種「ごまえもん」の育成に成功した。
 この新品種は、種子1gに含まれるセサミンが10mg程度と非常に多く、セサモリン含量が少ないのが特徴。草丈が低く、病気の発生が少ないため栽培しやすく、寒冷地でも高い収量が得られる。
 もう一方の「ごまひめ」は、セサミンとセサモリンの含量が多い白ごま品種で、収穫時期が在来品種より関東地方では2週間程度早くなり、8月末に収穫できるという。

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