アルミの表面を超はっ水性にする新処理技術を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は5月29日、水を極めて良くはじく超はっ水性を示す新しいアルミニウム表面処理技術を開発したと発表した。廃液が出ない上、この処理を行ってもアルミの金属光沢が失われず、表面の汚れ防止や水の抵抗(流動抵抗)減少の効果が大きいことから、化学プラントや建物内配管などへの利用が期待される。
 蓮の葉には、はっ水性の微細な針状の突起が表面に多数存在し、非常に良く水をはじく。その蓮の持つ驚異的なはっ水機能に注目し、「イソシアネート化合物」という化学物質の優れた反応性を利用してアルミ表面にnm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)構造の針状イソシアネート単分子膜を形成させ、超はっ水性のアルミ表面を実現した。処理した表面を水中に1カ月放置してもアルミの腐食は確認されず、さらに長期間の試験を継続している。
 アルミの超はっ水処理法としては、陽極酸化と呼ばれる電気化学処理によりアルミ表面に凹凸をつけ、シランカップリング剤という溶液を使って処理する方法などが既にある。今回の新技術は、[1]蒸気を使うため廃液が出ない、[2]反応の再現性が良い、[3]従来の溶液法のように重合物が生成しにくい―のが特徴で、水滴が表面を転がるほどの超はっ水性を示すという。
 この研究成果は、5月11日に米国化学会の学術誌「ラングミュア」のオンライン版に掲載された。

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新技術で処理した超はっ水性のアルミ板上の水滴(提供:産業技術総合研究所)