細胞分裂の周期リアルタイムで観察できるマウスを提供
:理化学研究所/アマルガム

 (独)理化学研究所とバイオベンチャーの(有)アマルガムは3月30日、細胞分裂の周期をリアルタイムで観察できるマウスの提供を4月1日から開始すると発表した。
 細胞は、分裂を繰り返して増殖し、細胞分裂のサイクルを「細胞周期」という。提供を開始するのは、「Fucci(フーチ)マウス」と呼ばれるその細胞周期が観察できるマウスで、1匹8,715円(送料など含まず)で非営利機関の学術研究に限り供給する。
 がんや発生・再生の研究では、細胞周期の進行に伴う細胞増殖の状況を個体レベルで逐次観察する技術の開発が求められている。今回の「フーチマウス」は、その要望に応える革新的な蛍光プローブ(蛍光現象を利用して生体内の特定の物質を検出する材料や方法)で、2008年に同研究所の科学総合研究センターが開発、発生過程の神経細胞の分化・移動の際の細胞周期の進行がリアルタイムで観察できることから、利用希望が殺到していた。
 今回、同研究所は、アマルガム社とフーチマウスの寄託同意書を締結し、国内外の非営利機関に対して同マウスを実費で提供する体制を整えた。
 提供するフーチマウスは、遺伝子操作で作り出されたマウス(トランスジェニックマウス)で、細胞周期を赤と緑の2色の蛍光タンパク質で観察でき、脳・神経、がん、発生・再生など幅広い研究分野に利用できる。
 同マウスの輸送に使われる輸送容器は、同研究所から発送され、輸送費用も同研究所が負担する。

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