新大型ロケット「H-IIB」1段目の燃焼試験に成功
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業㈱は4月2日、現用の「H-IIA」ロケットに続く新大型ロケットとして開発中の「H-IIB」ロケットの1段目を同機構種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)の実際にH-IIBロケット打ち上げに使う発射台(大型ロケット発射場第2射点)に据え付けての初の燃焼試験に成功したと発表した。実機搭載の燃料タンクを使っての今回の試験の燃焼時間は10秒だが、日本のロケットとして初めて主エンジン2基を束ねたH-IIBロケット1段目の複数エンジン同時燃焼に対する安全性などを確認した。
 H-IIBロケットは、H-IIAよりさらに衛星打ち上げ能力を高め、JAXAの若田光一宇宙飛行士らが長期滞在中の国際宇宙ステーション(ISS)への生活物資補給や研究用資材運搬などを行なう無人宇宙補給機(HTV)の打ち上げ、H-IIAと併用して運用することで国内外の衛星打ち上げ需要に幅広く対応できるようにする、ことを狙っている。
 H-IIBロケットは、H-IIA同様、液体酸素と液体水素を推進薬とする2段式液体燃料ロケットだが、幾つかの主要な改良点が見られる。
 最も大きな違いは、H-IIAでは1基だった第1段ロケットのエンジン(LE-7A)数を2基に増やした。このため、第1段ロケットの燃料タンクの直径を4mから5.2mと太くし、全長も1m伸ばして推進薬を約1.7倍に増やした。
 また、H-IIAでは標準型で2本だった第1段ロケットに付ける固体ロケットブースター(SRB-A)を4本にした。しかし、第2段ロケットは、変わっていない(LE-5Bエンジン1基)。
 さらに、搭載機器や地上設備は極力、運用実績のあるH-IIAと同一の仕様・構成とし、信頼性の維持と、開発リスク・コストの低減に努めている。これでH-IIBは、6tの積荷を含む16.5tのHTVを高度約400kmのISS軌道まで運べる能力を持つことになる。
 2回目の燃焼試験(150秒の予定)の後、地上総合試験を経て、1号機打ち上げへと進む。H-IIBロケットによる初のHTV打ち上げは、今年9月以降になる見通し。

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「H-IIB」ロケット1段目の燃焼試験の様子(提供:宇宙航空研究開発機構)