外部の研究者にカイコの最先端研究を行ってもらうオープンラボを開設
:農業生物資源研究所

 (独)農業生物資源研究所は2月12日、つくば市(茨城)の同研究所内に外部の研究者などに使ってもらうオープンラボ(開放型研究施設)「昆虫遺伝子機能解析関連施設」を開設したと発表した。
 この新施設は、カイコの遺伝子の解明や、遺伝子組み換えによって作った組み換え体カイコの利用といったカイコの最先端の研究が行える機器や情報データベースを広く外部の利用者に提供しようというもの。
 カイコの研究では、日本と中国のカイコゲノム(カイコの全遺伝情報)解析のデータが統合され、高精度のゲノム情報が利用可能になってきたことから、組み換え体カイコが生産するタンパク質の利用が注目されている。しかし。カイコのゲノム解析や組み換え体作製が行える技術的基盤を持っている研究機関や企業は少ないのが現状。
 オープンラボは、これまでに同研究所が蓄積してきたカイコのゲノム情報やカイコ組み換え技術の有効利用を図ろうと開設したもので、DNA(デオキシリボ核酸)の分離を容易にする、DNA自動分離装置、シーケンサー(解析装置)、高速冷却遠心機などを備え、ゲノム情報データベースを利用して目的とするゲノム領域を絞り込んでいくポジショナルクローニングが効率的に行える体制を敷いている。
 また、遺伝子組み換えカイコ作製用に、クリーンベンチ、卵にDNAを注射する微量注射装置、蛍光実体顕微鏡などを整え、遺伝子組み換えカイコを安全に飼育する飼育室を利用することができる。「初心者にとって難しい卵へのDNA注射やカイコの飼育についても担当者から指導、アドバイスが受けられる」と同研究所では言っている。

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