(独)産業技術総合研究所と日本電信電話(株)は10月10日、光と電波の境界領域の超高周波として注目されている「テラヘルツ波」を捉える広帯域・超低雑音受信器を開発したと発表した。
テラは、1兆のこと。テラヘルツ波は、周波数が1,000億~10兆ヘルツの超高周波。新受信器は、この広い周波数範囲のテラヘルツ波を1台で受信でき、空気中の危険ガスの遠隔監視などへの利用が期待される。
一酸化炭素、塩化水素、シアン化水素、二酸化硫黄などの有毒ガスは、テラヘルツ帯に固有の吸収スペクトルを持つことから、テラヘルツ波を用いればこれら危険なガスの濃度が測れると考えられている。しかし、テラヘルツ帯は、「未開拓周波数帯の電磁波」と呼ばれ、全周波数範囲を受信するにはこれまで3台以上の受信器が必要だった。
共同研究グループは、受信器を構成する2つの部品、ミキサー(周波数変換器)と局部発振器(基準信号発生器)を新たに開発し、1台でカバーすることに成功した。
すでに、ガスが放射する微弱なテラヘルツ波を受信してガスの種類・濃度を同定する分光放射計に応用できることを確認している。
この研究は、(独)情報通信研究機構からの委託研究として行ったもので、今後さらに改良を加え、人が近づけない災害現場などで危険ガスを遠隔で検知できるようにするシステムの実現を目指したいとしている。
No.2008-39
2008年10月6日~2008年10月12日