安価で高性能な新規の無機系吸放湿材を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は10月8日、市販のゼオライトと同じ程度の安価な材料を使い、幅広い湿度領域において多量の水蒸気などの吸脱着が可能な高性能無機系吸放湿材を開発したと発表した。
 高性能な吸放湿材は、これまでに幾つも開発されているが、省エネルギー空調ができるデシカント空調用の安価で高性能な無機系吸放湿材はなかった。
 デシカント空調とは、快適な生活空間を得るために、乾燥材(デシカント)を用いて除湿を行う空調システムのことで、従来の除湿システムと比較して、過冷防止のための再加熱エネルギーを必要とせず、乾燥材の再生(乾燥)熱源には空調から排出される低温排熱を利用できることから、電力消費量が少なく、省エネ効果が期待されている。
 研究グループは、天然の火山灰の土壌中に風化生成物として存在する粘土鉱物の一種「イモゴライト」(アルミニウムケイ酸塩)に着目し、その吸着性能を調べると共に大量合成法の研究を進めた。その結果、実用化が可能な安価な原料を用いながらも、従来の代表的乾燥材であるシリカゲルの約2倍の吸放出性能を持つ高性能な吸放湿材の開発に成功した。
 この吸放湿材は、無機材料なので330℃までの耐熱性を持つと共に、70℃という低温で実用上十分な再生(水蒸気の脱着)が可能で、排熱などを利用したデシカント空調などの高性能化や省エネ化が推進されるものと期待される。

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新開発の無機系吸放湿材(提供:産業技術総合研究所)