(独)防災科学技術研究所は9月25日、実大三次元振動破壊実験施設(E-ディフェンス)を使った実験から、現在の設計による鉄筋コンクリート(RC)橋脚が「阪神・淡路大震災」として知られる兵庫県南部地震クラスの大地震に対し十分な耐力を持っていることが分かったと発表した。
1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震は、震度7の激震を記録した初めての地震で、死者6400人あまり、建物被害は69万件に達し、RC橋脚にも甚大な被害が生じた。
今回の実験は、三木市(兵庫)の同研究所兵庫耐震工学研究センターにあるE-ディフェンスの震動台上に、直径2m、高さ7.5m、全体重量310tの実大RC橋脚1本に2つの橋げたを載せた試験体を載せ、兵庫県南部地震で記録された震動を加えて行われた。
その結果、兵庫県南部地震レベルの加振を2回実施しても大きな破壊に至らないことが確認された。
さらに、試験体の耐震性能の限界を検証するため、上部に65tの構造物を追加して、兵庫県南部地震レベルの加振を1回と、同地震の1.25倍(125%レベル)の加振を2回行ったが、ある程度の損傷が生じたものの、加振後も上部構造物を支持するのに十分な耐力が残っていた。
この一連の実験から、「現在の設計によるRC橋脚は、兵庫県南部地震レベルの大きな地震動を5回受けた後においても十分な耐力があることが分かった」と同研究所では結論している。
No.2008-37
2008年9月22日~2008年9月28日