プラスチックフィルム上に金属電極を低温で形成することに成功:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は9月24日、 プラスチックフィルム上にアルミニウムなどの電極や配線を印刷法で形成することに成功したと発表した。
 金属のペーストを用いてパターンを印刷形成した後、熱の代わりに力学的エネルギーを加えるという方法。熱に弱い汎用プラスチックフィルムに電極や配線パターンを作ることができる。
  従来は、金属ペーストを用いて印刷パターンを形成した後に、400ºC以上の高温で加熱処理して金属粒子を凝集させて金属パターンの抵抗を下げる必要があったため、アルミなど高温で酸化しやすい金属はこの熱処理過程で酸化されて逆に抵抗が大きくなってしまい、印刷によるプラスチックフィルムへの電極や配線パターンの形成は事実上困難だった。
 同研究所は、金属粒子を凝集させるのに熱エネルギーの代わりに機械的な力学的エネルギーを使う方法を開発し、150ºC以下の低温で金属パターンの抵抗を低下させることに成功した。これにより、柔軟なプラスチックフィルム上に、印刷で様々な電子回路を形成させることが簡単にできるようになり、フレキシブルディスプレイやフレキシブル太陽電池、フレキシブル配線基板など、各種のフィルムデバイスの作製が低コストで可能になった。
 今後さらに抵抗値を下げる改良を加え、フィルム電子回路の低温印刷加工技術として確立を図りたいとしている。
 この成果は、10月20、21の両日同研究所つくばセンター(茨城・つくば市)で開催される「産総研オープンラボ」で公開する予定。

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プラスチックフィルム上に作ったアルミニウム配線(提供:産業技術総合研究所)