(独)産業技術総合研究所は9月25日、シャ-プ(株)と共同で消費電力が今の1000分の1以下と少なく、かつ高速動作を兼ね備えた「RRAM(抵抗変化メモリー)」と呼ぶ不揮発性メモリーを開発したと発表した。 RRAMは、電流によって生じる抵抗の変化を利用した記憶素子(メモリー)で、これまでも次世代の超大容量メモリーの候補と見られてはいたが、低電流動作と高速動作を同時に満たすことができなかった。その壁を破ったもので、既存の半導体製造プロセスとの整合性が高く、高価な部材や特殊な取り扱いを必要とする原料も使わないことから「実現(実用化)に向けた途が開かれた」と同研究所ではいっている。 今回のRRAMは、タンタル電極とコバルト酸化物からなる極めて単純な構造をしており、タンタルとコバルト酸化物の界面にnm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)スケールのタンタル酸化物界面層を形成することによって低電流動作と高速動作を両立させることに成功した。消費電力は、携帯電話などに使われているNOR型フラッシュメモリーの1000分の1以下を記録、情報の読み出し・書き込み時間もそれぞれ1億分の1秒程度と高速メモリーとして知られるMRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリー)に匹敵する。 これまで、酸化物を使うメモリーには、貴金属の電極が使われることが多かった。今回のRRAMは、高価な貴金属を使わず、シリコン素子の製造プロセスで使われている各種の金属材料を利用することができる。現用の製造プロセスとの整合性が高いため設備投資も少なくてすむという。 詳しくはこちら |  |
新開発のRRAMの断面の電子顕微鏡写真(提供:産業技術総合研究所) |
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