燃料用エタノール生産技術の開発でブラジルと共同研究
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は7月8日、食料にはならないバイオマス(生物資源)から燃料用エタノール(エチルアルコール)を生産する技術の共同研究をブラジルのリオデジャネイロ連邦大学(UFRJ)と行うことになり同大学との共同研究契約書に署名したと発表した。
 石油代替エネルギーの一つとしてバイオマスから得られるバイオエタノールが注目され、米国やブラジルなどでトウモロコシやサトウキビなどからのエタノール生産が急増している。このため、食料や家畜用飼料の世界価格が上昇し、地球規模の新たな問題になってきている。
 今回の共同研究契約は、食糧にならないセルロース(繊維質)系バイオマスを原料にして燃料用エタノールを効率良く生産することを目指すもので、サトウキビからエタノールを生産する時に発生する使い途のない搾りかす(残渣)を発酵させて燃料用エタノールを生産する技術の研究を共同で実施する。
 ブラジルは、米国に次ぐ世界2位のバイオエタノール生産国だが、サトウキビの搾りかすやサトウキビ畑に捨てている茎葉などのエタノール化技術を確立すれば、さらに約5割の増産が期待できると見られている。
 セルロース系バイオマスからのエタノール生産は、バイオマスから先ずセルロース分だけを取り出し、そのセルロースを酵素によって糖分に変え、微生物の力で発酵させてエタノールにするという方法になる。UFRJは、ブラジルのトップクラスの大学で、酵素によりサトウキビ残渣を糖化する研究で優れた成果をあげている。
 一方、産総研も2011年3月までのプロジェクトとしてセルロース系バイオマスからの燃料用エタノールの生産技術開発に取り組んでおり、今回の共同研究契約により研究が加速するものと期待している。

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