(独)農業生物資源研究所は7月1日、農林水産先端技術産業振興センター農林水産先端技術研究所や富山県農林水産総合技術センター農業技術研究所と共同で、コメの粒の大きさなどを決める遺伝子(qSW5)を世界で初めて発見したと発表した。
コメの粒の形や大きさは、イネの収量に影響するため、農業にとって重要な形質(遺伝的性質)とされているが、どのような遺伝子が働いているのかは今まで分かっていなかった。
研究グループは、日本で栽培されているコメ(ジャポニカイネ)の一種「日本晴」と主に海外で栽培されているインディカイネの一種「カラカス」の2品種を用いて、コメの粒の形を決めている遺伝子を解析して調べた。その結果、コメ粒の幅を狭くしているqSW5遺伝子の分離に初めて成功した。また、ジャポニカイネは、野生イネの栽培化の過程でqSW5遺伝子のqSW5機能を失ったため、コメの外側の籾(もみ)のサイズが約2割増大し、その結果コメ粒の幅が大きくなったことを明らかにした。
さらに、様々な地域で栽培されている古いイネの品種(イネ在来種、約200種)について、コメの粒を細くする遺伝子(qSW5)や炊いたコメのもちもち感を決める遺伝子(Waxy)など3つの遺伝子の変化について調べた。
その結果、ジャポニカイネの起源は、従来の中国の長江流域とする学説(長江起源説)とは大きく異なり、東南アジアを起源として中国に伝わり、そこで温帯ジャポニカイネが生まれ、さらにそれが日本に伝わったことが考えられるとしている。
この研究成果は、7月7日に米国の科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」のオンライン版に掲載された。
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