下水処理水中の藻類繁殖を抑制する新手法を開発
:土木研究所

 (独)土木研究所は3月18日、下水処理水の利用で問題となる藻類増殖を抑制する新手法を開発したと発表した。
 下水処理水は、都市内の水資源として有効利用が求められているが、窒素やリンなどの栄養塩類を高濃度に含むため、再利用した場合に藻類の大量発生を引き起こし、景観障害などの問題が生じる。
 このため、下水処理水中の栄養塩類濃度を低くする凝集剤の大量使用によるリンの高度除去や、逆浸透膜などによる窒素・リンの超高度除去手法などが試験的に適用されているが、設備費・運転費とも高価で、普及していない。また、下水には人由来の女性ホルモン(エストロゲン)が含まれ、下水処理過程で十分な除去が行われない場合は、下水処理水放流先の魚類にメス化の影響を及ぼす問題もある。
  開発された手法は、微生物がつきやすいプラスチックのビーズを入れた反応槽内に、下水処理水を流して空気を吹き込みながら処理、マンガンを酸化する微生物が自然に繁殖、マンガンが水に溶けないように変化させる。つまり、下水二次処理水を曝気するだけの簡易な手法で、自然発生的にビーズ上に生育する微生物の働きを利用し、藻類の増殖に必要な微量金属を徴生物の働きで摂取しにくい形態に変えるという方式。
 新手法により、浮遊性藻類濃度を最大で4分の1、平均で3分の1以下に抑制することが可能となった。また、下水処理水中の女性ホルモン濃度も影響が無くなる1ℓ当たり3ナノ(ナノは10億分の1)g以下になるため、魚類のメス化も低下でき、下水処理水の利用が進展するものと期待されている。

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