液晶バックライト用の白色LEDの試作に成功:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は3月19日、液晶ディスプレイのバックライトに適した白色LED(発光ダイオード)の試作に成功したと発表した。
 同研究所が過去に開発した赤色と緑色の蛍光体を改良し、これと青色LEDを組み合わせることで、赤、緑、青の三原色で構成される白色LEDを実現したもので、既存の白色LEDの弱点である青白さのない鮮やかな白色を発するのが特徴。「白色LEDバックライト実用化に一気に近づいた」と同研究所では見ている。
 薄型テレビ、パソコン、携帯電話などに使われている液晶ディスプレイの白色バックライトの主流である冷陰極蛍光ランプは、水銀を使っているので将来、LEDに置き換えられると言われている。しかし、実用化されている白色LEDは、化合物半導体の青色LEDの発する光とYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の黄色蛍光体の光を混ぜて白色を合成しているため、緑色や赤色の成分が乏しく、青白い不自然な白色となり、液晶ディスプレイ用バックライト光源には適さなかった。
 研究者は今回、青色LEDと「カズン」という赤色蛍光体、β(ベータ)サイアロンという緑色蛍光体を組み合わせた。カズン赤色蛍光体は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化カルシウム、酸化ユーロピウムの各粉末を窒化ホウ素製のルツボに入れ、10気圧の窒素中、1800ºCで反応させて合成。βサイアロン緑色蛍光体は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ユーロピウムを窒化ホウ素製のルツボに入れ、10気圧の窒素中、1900ºCで反応させて合成した。
 試作した白色LEDは、青色LEDが放つ光を、赤色蛍光体は赤色の光に、緑色蛍光体は緑色の光にそれぞれ変換。これにより青色LEDと合わせて、赤、緑、青の光の三原色成分を発生する。用いた蛍光体は、耐久性に富み、温度変化も小さいので、耐久性と信頼性の高いバックライトになるという。

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白色LEDに使ったβサイアロン緑色蛍光体(上)とカズン赤色蛍光体(下)(提供:物質・材料研究機構)