世界最速、地球の自転をほぼリアルタイムで計測
:国土地理院/情報通信研究機構/スウェーデン・オンサラ観測所

 国土交通省国土地理院と(独)情報通信研究機構は3月19日、スウェーデンのオンサラ観測所と共にVLBI(超長基線電波干渉法)観測を実施し、地球の自転の速さをほぼリアルタイムで計測することに成功したと発表した。
 VLBIとは、はるか数十億光年の彼方にある電波星から地球に届く電波を利用して、数千kmも離れたパラボラアンテナの位置関係や地球が自転する速さなどを正確に計測する技術。今回の計測実験は、高速ネットワークの接続されている3つの観測局(つくば市(茨城)、鹿嶋市(同)、スウェーデン・オンサラ)で実施した。
 地球の自転の速さは、人工衛星の軌道制御や宇宙探査などに使用されるほか、うるう秒の調整にも用いられている。しかし、大容量のデータを取り扱うVLBI観測では、データを解析局へ送るのに時間を要する。従来行われた地球自転観測では、観測後に観測データを解析局へ空輸やネットワークで送るため、数日間のデータ処理を経て実測値を算出している。こうしたことから、より正確な自転の速さを利用できるようにするために、実測値をできるだけ早く算出し公表することが求められていた。
 両機関は、これまで高速ネットワークを利用した観測データ転送やデータ処理・解析の高速化を図る工夫を行うほか、スウェーデンなどと共に研究開発や実証実験に取り組んできた。
 今回の両機関とオンサラ観測所によるVLBI観測は、2月22日に行われ、地球の自転速度を観測終了から僅か3分45秒というほぼリアルタイムに近い短時間で算出した。
 この成功により、「高精度な地球自転の速さの実測値を数分後に公開することが可能になり、GPS(地球測位システム)などの精度向上がはかれる」と両機関は言っている。

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