(独)物質・材料研究機構は8月27日、衝撃を加えても壊れにくい1500メガパスカル(メガは100万。パスカルは応力・圧力の国際単位)級の低合金鋼の開発に成功したと発表した。
同研究機構は、強度2倍・寿命2倍の超鉄鋼材料の実現を目指して、1997年度から2005年度まで超鉄鋼プロジェクトを推進した。2006年度からの新構造材料プロジェクトでは、高靭性高強度の鋼材開発を研究テーマの一つに掲げている。
鉄鋼材料は、強度が高くなるにつれて壊れやすくなる。低合金鋼(合金元素を1種または2種以上を含有させた鋼で、添加した合金元素の合計が5%以下のもの)では、1500メガパスカル以上の強度レベルで特に靭性(粘り強くて、衝撃破壊を起こしにくい性質)が低いという問題点があり、鉄鋼材料研究に残された大きな課題の一つとなっている。
今回の研究では、炭素0.6%、ケイ素2%、クロム1%を含む合金鋼を500℃に加熱して加工した結果、鋼材中に繊維状に伸びた結晶ができ、衝撃に強い新しい低合金鋼が得られ靭性を飛躍的に向上させることに成功した。
研究成果は、超鉄鋼プロジェクトで構築された超微細粒鋼の創製技術と1500メガパスカル超級低合金鋼創製技術を応用して得られたもので、9月19日から岐阜大学で開催される「日本鉄鋼協会秋季講演大会」で発表する。
No.2007-34
2007年8月27日~2007年9月2日