CO2とエネルギー大幅に減らす次世代廃水処理の実証施設が完成:土木研究所ほか

 (独)土木研究所は8月27日、CO2(二酸化炭素)排出量とエネルギー消費量を共に標準活性汚泥法に比べて70%以上削減する次世代型廃水処理技術の実証試験設備が霧島市(鹿児島)の国分隼人クリーンセンターに完成したと発表した。
 完成した実証試験設備は、1日に50tの廃水を処理できる。この技術開発は、同研究所、三機工業㈱、荏原環境エンジニアリング(株)、(財)造水促進センター、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構が共同で平成18年度から3年計画で進めている。
 廃水処理技術には、好気性微生物を使う活性汚泥法と嫌気性生物処理法があり、主として、前者は有機物濃度が低い生活系廃水などの処理に、後者は有機物濃度が比較的に高い食品産業廃水などの処理に用いられている。
 しかし、共に一長一短がある。活性汚泥法は、処理水質が良い反面、所要動力が大きく、汚泥発生量が多い。一方、嫌気性生物処理法は、所要動力と汚泥発生量が少なく、メタンガスの回収が可能だが、有機物濃度の低い廃水には適用しにくく、処理水質が悪く、加温が必要なのが短所とされる。
 今回の新技術では、[1]廃水を下から入れて上に流し、加温不要で低有機物濃度廃水にも適用可能な「上向流式嫌気反応槽」と、[2]空気中に配置したスポンジ群の上から下に向けて廃水を流し、スポンジ内に固定した微生物が空気中の酸素を利用して廃水を浄化する「下流式好気反応槽」を組み合わせることで互いの欠点を克服。双方の長所を生かして、処理水質の良い省エネ型次世代廃水処理技術の実現を目指している。

詳しくはこちら

完成した実証試験設備(提供:土木研究所)