「花粉症緩和米」を収穫:農業生物資源研究所

 (独)農業生物資源研究所は11月29日、花粉症の緩和効果を狙い遺伝子組み換え技術を使って開発した「花粉症緩和米」の収穫を報道機関などに公開した。

 茨城県つくば市にある同研究所は、アレルギー疾患であるスギ花粉症の症状を、米を食べることにより緩和する研究を昨年から進めている。今年度は、食品安全性や花粉アレルギーの緩和効果などを調べることを目的として、実験材料である花粉症緩和米の量を確保するため同研究所内の隔離ほ場(面積8アール)で花粉症緩和米の二期作の栽培実験を行った。1回目の栽培実験は、8月7日に収穫を行い、2回目の今回の刈り入れと合わせて約450kgの米を収穫した。これらの米については、来年3月まで越冬性試験を行う。

 花粉症緩和米は、遺伝子組み換え技術によりスギ花粉のタンパク質の一部を含ませており、食べるとアレルギー反応が弱まることが基礎実験で分かっている。昨年の栽培実験で初めて収穫した花粉症緩和米約300kgは、サルやマウスなどを用いた動物実験に使われた。

 同研究所では、遺伝子組み換えイネの栽培区画は、研究所の外の最も近い農家の水田から750m離れていることや、二期作により一般に栽培されているイネと開花期が一致しないことなどから一般のイネと組換えイネが交雑する可能性はないといっている。