（国）産業技術総合研究所は10月27日、フィガロ技研（株）と共同で、ひとの呼気中の約10種類のガス（揮発性有機化合物：VOC）を捕集し、肺がん関連物質の有無を検知する装置を開発したと発表した。今後、臨床試験と改良を進め、2年後には卓上型で簡単に操作できる装置の実用化を目指す。

 

■肝がんと歯周病との相関も

 

　人の呼気には、血液中に溶け込んでいた有機ガスが多く含まれ、これを検出することが健康状態のモニタリングに役立つ。そこで肺がん患者の手術前後の呼気ガス成分を数ppb（ppbは10億分の1）レベルで測定、比較分析し呼気中のVOCから肺がんにかかわるガスの組み合わせを見出した。ブタン、メチルシクロヘキサン、アセトン、酢酸などが肺がんマーカー物質の候補だった。それらの物質の濃度から、肺がん患者と健常者とを高精度で識別できるアルゴリズムを開発した。

　また産総研は、水素ガスが腸内細菌の活動を示すことから、呼気中の水素ガス濃度を高感度に感知できる呼気水素検知器を開発した。2年間で愛知県内の延べ800人を超すボランティアに、呼気中の水素ガス濃度の測定と生活習慣等に関する質問調査を実施した。その結果、運動習慣や運動頻度などで呼気中の水素濃度との相関のあることが明らかになった。

　今後も呼気中の水素ガス濃度については、得られたデータの解析を進め、水素ガス濃度と生活習慣や血液検査結果との関連などを探る。また、この研究の一環として、呼気成分を解析し、肝がんと歯周病の特徴を抽出する研究を広島大学と進めることにしている。

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