
2010年6月に分離カメラがとらえた、世界で初めてソーラーセイルが展開した状態の「IKAROS」(提供:JAXA)
(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月29日、ソーラーセイル(宇宙帆船)として5年前に打上げた「小型ソーラー電力セイル実証機『IKAROS』」が5回目の冬眠モードに入ったと発表した。
「IKAROS」は、太陽の光の力(太陽光圧)を受ける一辺が14mの正方形のセイル(帆)に、薄膜太陽電池、液晶デバイスなどを張った重さ310kg(打ち上げ時)の科学衛星。
同衛星がH-ⅡAロケットで同機構の種子島宇宙センター(鹿児島)から打ち上げられたのは2010年5月21日で、これまでに①宇宙空間でのセイルの展開②太陽光圧による加速(光子加速)③セイルの向きを調整しての軌道制御と、いずれも世界初のものとして成功している。
現在同衛星は、太陽の周りを約10カ月で公転しているが、そのうちの7カ月間は太陽電池による発生電力が不足するために搭載機器の作動がシャットダウンする「冬眠モード」と呼ばれる状態になり、これまでに4回それを繰り返している。
「IKAROS」は、5月時点で地球から約1億1000万km、太陽から同1億3000万kmの位置にあって、今年4月にJAXAは冬眠モード明けの電波を受信している。JAXAは、その後引き続き「IKAROS」からのデータの取得を続けていたが、5月21日に電波を受信できなくなったことから5回目の冬眠モードに入ったと判断した。次回の冬眠モード明けは、2015年冬と予測しているという。